2.よいお薬と周囲の人たちに支えられ,定年後の生活を明るく
MMさん(男性,63歳)
- 退職記念の旅行で変調に気づく
- わたしが体の変調に気づいたのは,60歳の誕生日を迎えて間もなくのことでした。
会社の定年退職の祝いにと,息子たちが温泉旅行をプレゼントしてくれ,久し振りに妻と2人で旅行にでかけたときのことです。二泊三日の旅の間,妻の歩くスピードについていけていないことに気付きました。ただ,今までの疲れが出てしまったのかもしれないとあまり気にもしなかったのですが,その後も平らなところなのにつまづいたり,階段を上るときに足が思うように上がらないような感じがしたり,どうも体が思うように動かないような感触を何回も味わいました。おかしいとは思いましたが,急に仕事から離れたために,今までの疲れが出てしまったのかもしれない,とその時は笑いのタネにして帰ってきました。
ところが,旅行から数ヶ月たったある日,どうも歯磨きがうまくできず,時間がかかるようになってきて,妻も心配するようになってきました。そういえば,今まで病気らしい病気は一度もしたことがなく,病院にかかったこともあまりなかったので,妻と相談して一度病院に行ってみることにしました。
- 医師から突然パーキンソン病と言われ
- 近所の病院に行き,いろいろな検査をした結果,医師から「パーキンソン病」と診断されました。しかも,完治はしないというではありませんか。頭が真っ白になり,何も考えられなくなりました。
当時のことを思い返すと今でも辛くなります。定年後,やっと自分の時間が持てると思っていた矢先のことでしたから,毎日ふさぎこんで,妻から声をかけられても1日中部屋から出られない日もありました。心配した息子たちもかわるがわる顔を見せてくれましたが,きっと不機嫌で取り付く島もなかったことでしょう。
部屋にこもって過去のことをいろいろと思い出してもいました。そう言われてみれば,定年を迎える少し前から,ペンを持つ手がふるえたり,印鑑を押す時に力が入りづらかったり,といったことがあったのです。それらも前兆だったのかもしれません。
- お薬が効いて気持ちが楽に
- ところが,お薬を飲み始めてからは今までがうそのように足が動き出すようになりました。また,治療を開始して1年ほどたったころにはお医者様から病気がほとんど進行していない,と告げられ,何か少しふっと肩の力が抜けた気がしました。そのような折,タイミングよく元の職場の部下が,ワープロ入力のアルバイトをしないかと声をかけてくれたのです。手のふるえが気になって,退職以来キーボードには触っていなかったのですが,急に「このまま老け込んでいくわけにはいかない」という気持ちがわき,リハビリを兼ねて引き受けることにしました。
- 仕事を始めて生活に張りが
- 今では,週に1回,仕事の受け渡しのため,元の会社に通っています。現役時代は片道40分だった道のりも,今は1時間かかってしまいますが,これもまたリハビリ。懐かしい面々に会って話をするのを楽しみに過ごしています。季節がよくなったら,心配かけてばかりだった妻を連れて旅行のやり直しをしたいとも思えるようになりました。
これも最初によいお医者様に巡り合い,体に合う薬をいただけたからだと感謝しています。また,妻や息子たちの励ましにも支えられ,これから何とかやっていける自信がついてきました。